建築ビジュアライゼーションの ワークフローを高速化し、レンダリングを改善するための 10 のヒント

建築ビジュアライゼーションの ワークフローを高速化し、レンダリングを改善するための 10 のヒント

もしあなたが建築ビジュアライゼーションのプロジェクトにこれまで携わってきていたなら、クライアントがあなたの美しいデザインを見て驚いたところを見たことがあるかもしれません。 美しいダイニングテーブルの上に置かれた華麗なガラスの食器、洗練された部屋の中にが優しく注ぐ光。そのような美しいデザインをどうやって作ったのか、クライアント側からすると魔法のように思ったかもしれません。

3D レンダリングでの建築ビジュアライゼーションは数十年前から活用され、コンセプトをクライアントに提示するために一番良い方法として確立しています。クライアント側もテクノロジが進歩するにつれて要求するものへの期待を高めています。競争も激しくなってきており、数週間かかるように見えるものを1 日で作成できるような熟練したデザイナーが市場にあふれています。

常に仕事が豊富にあるように見える建築ビジュアライゼーションのビジネスが、実は年々飽和状態にあるというのは厳しい事実ですが、成功するために無理をして完璧を追い求める必要はありません。優れたモデリング、テクスチャリング、ライティング、ステージングは重要な要素ですが、他の機能や側面にも目を向け、効率化を図るための技術を採用して作品を完成させることも重要です。今回はその効率化に役立つ 建築ビジュアライゼーションのワークフローへのヒントと、時間節約のヒントについて解説していきます。

ワークフロー

あなたが3D デザイナーでこれまで様々なことに挑戦し、すべてをゼロから作成することを信条としてきたとして、それはとても立派なことであり素晴らしい経験値になっていると思いますが、現代の業界では違うアプローチで作成できるようになってきています。

自分で全てこだわりを持って行うことも大切ですが、仕事では効率が優先されることもあります。 ワークフローのスピードアップをまずは優先してみてください。そうすれば、最終的に最終物を調整する時間を作ることができます。高品質の作品のためにこだわる時間をキープしつつ、ワークフロー全体を効率よく向上させる方法をご紹介します。

1.アセットを使用する

建築のドラフトを正確におこし、床と壁と天井をテクスチャリングし、リアリズムを出すためにほこりの粒子を加えて、部屋を完璧にライティングする - これらはパイプラインにおいて成功するためのポイントです。 そして、家具についても考えなければなりませんが、植物や本棚だけでは十分ではありません。嬉しいことに、現代でアセットを手頃な価格で購入できるので、悩む必要はありません。Chocofur、iMeshh、Evermotion、CGTraderなどはよく知られているプロバイダーのひとつで、リストはますます増えています。最初はアセット購入へのコストがかかるかもしれませんが、比較的大量のアセットを集めたり(または月額プランに加入したり)すると、時間を節約できることでそれを補うことができます。より多くの時間を確保できるということは、より多くのプロジェクトや別の仕事を得れるということであり、3Dアプリにアセットを追加することは常にプラスになります。3dbee.itは、アセットマネージャーから直接Maxプロジェクトにドラッグアンドドロップでき、V-Ray、Corona、Arnoldなどのレンダリングエンジン向けのシェーダーやテクスチャが自動的に設定されます。

2.Substanceを使用する

テクスチャリング作業の好き嫌いは、最初にオブジェクトにテクスチャを付けるためのツールによって左右することが多いです。ArtStationなどで他の人のレンダリングを見ていると、素晴らしいレンダリングの多くにはAllegorithmicのSubstance Suiteが使われていることに気付くかもしれません。適度な価格設定(Adobeによる買収後も適度であることを願います)と学習難易度も高くなく(少なくともSubstance Painterについては)、豊富なプリセットライブラリがあることから、Substanceの有用性は疑う余地がありません。テクスチャリングが特に好きでない場合でも、Substanceを利用すれば何か発見できるかもしれません、

3.アドオンを使用する

Cinema 4d ユーザー向けのGrey Scale Gorillasのアドオンスイート

ライトのセットアップ、カメラ リグ、群衆、ツリーの生成 - 今日3D プログラムで使用できるサードパーティ製プラグインの数は、事実上数え切れません。 オンライン マーケットに何があるかを確認すれば、自分のパイプラインの問題を解決するものが見つかるかもしれません。 クライアントが、にぎやかな通りにある建物の空撮のシーケンスを2 週間で完成させてほしいと言ってきたとき、もし不可能だと思ったなら、それがあなたの手持ちのツールを増やす時だということです。

4. レンダー ファームを使用する

時は金なりです。 レンダー ファームを使用すると、プロジェクトのフレームを並行してレンダリングできるため、レンダリング時間が大幅に短縮され、自分のPCを他の作業やプライベートなことに使用できるようになります。 大抵のクライアントは、レンダリングのためだけにいくらかの予算が必要なことはわかっていますが、何か問題が発生した場合はあなたの責任です。レンダリングを安心して行うために、サポートが充実したレンダーファームを見つけることが重要です。こちらの記事で、適切なファームを選択するための条件を紹介しています。

微調整

プロジェクトを微調整する段階では、大きな困難に直面する可能性があります。これには様々な理由があり、ほとんどが「好み」の問題であるためです。 悪いジオメトリを検出する操作を実行し、モデルの UV の問題を一目で見つけることもできます。 考慮するいくつかの事項を次に示します。

1.カメラが目の高さであることを確認する

では、建築レンダリングのモデリング、テクスチャリング、ライティング、ステージングが完了したとします。 あなたはレンダリング ボタンを押して終わりにしようとしていますが、何かがおかしい気がします。 モデルの見栄えもよく、構図もしっかりしていて、照明の設定も気に入っているにもかかわらず、イメージが何かしっくりきません。

このような場合、気にしすぎなこともありますが、まずはカメラから地面までの距離が目の高さに近いかどうかを確認してください。 空撮をするつもりなら、それを確立する高さをカメラに与えます。 現実世界で可能な距離にカメラを置いてください。 床から 5 ~ 6 フィート、アンテナの場合は 400 フィート以内など、これはたとえばドローン撮影の法的制限内です。

2. ホワイトバランス

リアリズムを出す一番のポイントは、光が跳ね返る物理的な挙動を再現することです。 光は真空中で跳ね返ることはないため、シーンの中の全ての色は、モデルの表面から反射された結果の色です。または、hdr マップを使用する場合は、マップが作成された物理環境でライトが相互作用してサーフェイスに影響してできる色です。では、自然光に照らし出された中庭をビジュアライゼーションするとします。このシーン用に選択した hdri マップはいいのですが、空のあからさまな青があまり合ってない気がします。 そういう場合はホワイトバランスが役に立ちます。

ホワイト バランスを使用する方法の一つは、白に設定されたシェーダーでプリミティブを作成し、テスト レンダーからそれらのプリミティブの値をサンプリングすることです。

3D ソフトウェアで、ホワイトレベルをサンプル値に設定する場合、ホワイトの値をニュートラル ホワイトに近づけて色温度で色かぶりを相殺します。 これにより、私たちの目が実際に光を認識するのとより近い外観にすることができます。

3.露出

Credit: Joni Mercado, CG Cookie

上記のプリミティブを使用して、カラー値を 18% グレーまたは (RG および B チャネルの場合は 0.18) に設定し、テストレンダリングします。 3D ソフトウェアのヒートマップ (つまり、Blender の Filmic の False Color プロファイル) でテストレンダリングを確認し、プリミティブのグレーがシーンのグレーと一致するまで露出レベルを調整します。

4. ライティングを活用する

Credit: Mateusz Wielgus

3D制作の利点の 1 つは、実際の写真撮影では事実上不可能な角度でショットを照らし、手間のかかる処理作業をせずに照明効果を得ることができることです。 Mateusz Wielgusの作品では、レンダリングの重要なアセットにリム ライティングを追加して強調していることがわかります。 また、こちらの記事「 露出の芸術」と「3Dアーティストのライトの原則」で3D アーティストのためのライティングの原則を学ぶことができますので是非ご確認ください。

5. 繊細さが鍵

プロジェクトの微調整に何時間も費やすと、心身共に疲労してくるので作業にも影響がでる可能性がありますが、PCから離れてリフレッシュする時間もない場合も多いです。 これは以前、私たちのライブ配信でもゲストの 1 人が言っていました。

そのような状況でも、何か特定の値を増減させる必要があると感じた場合は、増減する値をその半分にとどめてください。それぐらいの慎重さが鍵になります。

6. 完璧すぎない要素を取り入れる

微妙な表面の汚れは、リアルな建築ビジュアライゼーションでは良い要素になります。 空気中のほこりやガラスの目立たない指紋など、現実世界にありそうな要素を追加することで、見る側に実際に建設された場合どのように見えるかまで想像させることができます。

今回は以上です。 この記事が、建築ビジュアライゼーションや3D コンテンツの作成に少しでもお役に立てたことを願っています。より効率的に作業でき、デザインのディティール作成に役立つ内容をまとめたつもりですが、もちろん挑戦したりスキルを磨くことが基本的に大事です。ますます多くのツールやリソースが市場に登場し、クライアントが求める品質のレベルは上がり続けていくでしょう。学び、成長し続け、レンダリングを楽しんでください。

その他の建築ビジュアライゼーションの記事はこちらでもご確認いただけます。
(https://garagefarm.net/blog/planning-for-success-how-to-estimate-and-manage-time-when-working-on-your-archviz-project/)

クラウドレンダリングに関してはこちらから

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