映画やアートにおける、3D アーティストのライティングの原則

映画やアートにおける、3D アーティストのライティングの原則

照明は、現実世界を忠実に再現したイメージを作成するために不可欠です。 粉末の素材や顔料などを使用して描く手描きのイメージ作成では、光は色調値によって表され、アーティストの技術の正確性、またはそのアーティストがいかにリアリズムにこだわっているかなど、さまざまな理由により変わってきます。

写真家や映画製作者は、実際に光がどう捉えられるか、物理的な光の配置やその測定などを綿密に考えて撮影したり、あるいはリアルより強調したり、抽象化させて撮影を行います。 どちらの場合も、光のコントロールや光をどう見せるかのアイデアが、作品を形作る上で重要な役割を果たします。

私たち3D アーティストは、画家や製図技師のような自由さと、撮影監督やシネマトグラファーのように空間における光を仮想上でリアルに模倣できる正確さとセンスの両方を持っています。

悲しいことに (すべての 3D アーティストや 3D アートを代弁しているわけではありませんが)、3D レンダリングを作成する上で照明がいかに重要であるかを軽視しがちです。特に、現実世界を具象化することを意図している場合に見られます。これは、選択したツールで要求されるステップが原因の一つです。

一般的に、まず最初にアセットのモデリングとテクスチャリング専念します。リギングやアニメーションが関係する場合は言うまでもなく、モデリングとテクスチャリング自体が細心の注意が必要な作業です。また最近では、プロジェクトの後半に必要なライティングを適切な HDRI マップをすぐにオフロードするのが簡単になりました。

私たち 3D アーティストは、照明で作品を向上させるために、伝統的な芸術や映画からヒントを得ることがあり、これは短編アニメーションを制作する上でも同じです。

しかし、そもそも照明とはなんなのか、そして照明が私たちに与えてくれるものは正確には何なのかをもっと詳しく知りたい人もいるでしょう。そこで手始めに、ここで2つのものについて言及しましょう。

3Dにおける照明は、以下で詳しく説明するように、シーンや被写体を照らしてクリエイティブな作品を完成させるための重要なプロセスです。

大きさの知覚を助けてくれる光

あなたがアニメーション映画などを見た時、もしそのシナリオがありきたりでも、見ていくうちに没入感を感じ始めることに気づくと思います。この大きな理由の 1 つは、2 トーンの照明が徐々に使用されているからです。


Classic Disney Animation with flat lighting
ディズニーの名作アニメ「ロビン・フッド」のワンシーンでは、光はフラットで影へは移行せず、形や容積を線で表現しています。
Lighting in Disney Animation with a shadow tone
ディズニーの美女と野獣 (1991 年) からのショットでは、キャラクターにボリューム感を与えるために、影のトーンが追加されていることに注目してみてください。
Two-toned lighting in Ghost In The Shell
押井守の 1995 年のヒット作『攻殻機動隊』では、2 トーンの照明を多用してボリュームとディテールを表現しています。

どんなに軽微であっても、影のシンプルな表現は、アニメに明確な「ポップさ」を十分に与えてくれるのです。

もう少し緻密なものを例にあげるなら、Netflix の『クロース』などがあり、照明の複雑さと素晴らしいビジュアルストーリーのために、3D アニメーションか2Dアニメーションかという見分けがほとんどつきませんでした。

これらの例では、多かれ少なかれ直接照明のアプローチをしており、物質の形上での光の動作を完全には描写していませんが、ボリューム感を出すために様々なアプローチがされています。

光が物語る

Example render showing diminished light

このレンダリングでは、少ない光が常に物足りない画像になるとは限らないことを示しています。 すべての光源は、静的なショットと静的な「俳優」の中でストーリーを伝えます。 前景の影は、カットアウトとスポットライトだけでシーンにストーリーの文脈を与えています。光がない場所を選択することは、光を配置する場所を選択することと同じくらい重要です。

シーンが何を求めているかによって、光と影の配置のどちらかが優先されますが、ある程度は個人的な好みと言えます。これは光の価値に関する具体的な議論にさらに細かく分けることができますが、この時点では、光による照明に注目していきましょう。

シネマトグラフィー (もしくは写真だったかもしれませんが) は、光で絵を描くことだ、と言われてきました。 画家がパレットとブラシで絵を描くように、私達も3D レンダリングを作成する時には、ライトのツールセットを使用してライトのプロパティと角度の観点から作品を作ります。

私達3Dアーティストはフィルムのライティング スタイルを使用しますが、これは映画の世界の用語であり、実際のペインティングでも次のような光の要素が使用されています。

ライトキーまたはトーン範囲

High keyed values vs. Low keyed values
クレジット: https://artstudiolife.com/introductory-guide-to-tonal-values/

広く受け入れられている概念として、画像はより短い色調範囲を使用することでより効果的なイメージになるということです。 色調範囲とは、たとえば、0 ~ 1 の範囲で最も暗い値が 0.25、最も明るい値が 0.75の写真で、それに対して 0-1 の範囲全体をカバーすることを意味します。

この概念は、ライト キーの概念も作り出しました。 簡単に言えば、ハイキーの画像は、最も明るい光の値と、グレーに近い値が最も暗い値を持ちます。 ローキー画像は、中間のグレーが最も明るい値を持ち、完全な黒に最も近いものが、暗い値を持っている場合が多いです。

ライト キーを確立できたら、ライトに設定した最大値を基準にして作業できます。

High keyed values vs. Low keyed values
ハイキー レンダリング - 環境光を中間のグレーに設定し、消失点にかろうじて到達するのに十分な明るさの単一の光源を持つ。
A low key render
ローキーバージョン - 環境光を黒に設定し、単一の光源を元の値の 4 分の 1 に設定。


ハードライトとソフトライト

これは全体的に非常に単純化されていますが、ハード ライトとソフト ライトがあり、これを理解することで、使用している 3D ソフトウェアでより多くの情報の理解が可能になります。

実際の光を使用する場合、ハードライトは被写体に非常にグラフィカルで強烈な外観を作り出すことができますが、非常にソフトライトは安らぎ、厳粛さ、または快適さを生み出すために使用できます。 一般の人には、ソフトライトの被写体はまったく光っていないように見えることもありますが、明らかに質感を与えることができます。

Hard light in rendering
被写体が強く照らされている (最小の半径値)
Soft light in rendering
被写体がソフトに照らされている (最大半径値)


光の硬さまたは柔らかさは、照らされているオブジェクトに対するそのサイズによって決まります。

3D では、ライトの「半径」または「サイズ」のパラメータを使用して、ライトの硬さや柔らかさを調整することができます。 後で紹介するように、弱いライトでライトを柔らかくすることもできます。

光の硬さや柔らかさを理解するために、従来のメディアに目を向けてみましょう。従来のメディアでは、ハードとソフトの照明がエッジによって表現されています。 ハードライトは光と影の間に鮮明なエッジを作成しますが、ソフトライトはこれらのエッジを柔らかくし、知覚できない、または「失われている」表現をすることもできます。 絵画においてエッジの配置を評価するように、3D でもエッジを調整して良い作品に仕上げることができます。

どのような目的でシーンを照らすかについて理解が深まったところで、フィルムの照明の種類とそれを実際にどのように活用するかについて見てみましょう。

キーライト

キーライトは、シーン内のオブジェクトを記述および定義します。3D では、シーン内のデフォルト ライトを実用的なキーライトと考えることができます。被写体を明確にする光と影の領域を示すことでジオメトリを記述するために存在するからです。1 つのキーライトでレンダリングでの明暗効果出すことができ、キーライトの角度は、シーン内のメインの光源を表し、ショットのムードを決定します。

A single key light in a render
キーライトは、被写体を読み取らせるために機能するため、ハードライトに傾く傾向があります。これは、常にハードライトを使用する必要があるという意味ではありませんが、通常は他のライトの基準点として使用します。

補助光

補助光は、キーライトのコントラストを和らげ、キーライトによって作成される被写体の影の領域をより明確にします。 この方法では、通常、補助光をキーの反対側に配置しますが、常にこのようにする必要はありません。 補助光を使用して、シーン内の二次光源や被写体への反射光を表すことができます。 通常、補助光はキーライトよりも柔らかくて暗く、そしてキーライトに色が付けられている場合は、補助光にキーの補色を使用して、被写体の影の部分をスタイリッシュに表現することができます。

A fill light in a render
補助光は影の領域からディテールを引き出しますが、キーよりも柔らかくする必要があります。 この場合、キーライトに補色のシャドウを追加する役割も果たします。

バックライト

バックライトは被写体を後ろから照らし、通常はキャラクターの髪に鮮明さを加えるために使用されます。 バックライトの位置がオブジェクトの側面を照らす場合、それは弾みをつけるものとされています。そして被写体の輪郭を照らすバックライトをリムライトと呼びます。

A kicker backlight in a render
はずみをつけるものとして使用したバックライト
A rim backlight in a render
リムとして使用したバックライト
Key, fill, and rim lights in a render
キー ライト、補助光、リム ライトのある被写体。

環境光

環境光は、物理的な世界で発生する自然光の乱反射をシュミレーションする概念で、HDRI マップをオフにしたどんよりした環境や、シーン内のリフレクターからの光の跳ね返りをオフにすることなどです。

Ambient light using HDRI in a render
月のない夜の HDRI マップ - 直接光源のない HDRI は、シーンの全体的な色に影響を与え、ショットのトーンを確立するのに役立ちます。
Key, fill, rim, and ambient light in a render
キー、補助光、リム、および環境光を使用した被写体。

繰り返しますが、これらのライトのどれを使用するかは、シーンが何を求めているかによって異なります。 これはすべてかなり主観的なものに思えるかもしれませんが、照明の選択に関係なく、そのイメージを成功させるために、影響を考える事項がいくつかあります。


理解するのは大変でしたが、これらの 3D ライティングのテクニックとコンセプトを楽しく試してみてください。 覚えておいてほしいのは、アートには厳格なルールはなく、あなたの試行錯誤と観察による研究で道が開けるということです。さらに詳しく知りたい方は、Joni Mercado の3D における照明に関する記事と、視覚的なストーリーテリングに関する記事をご覧ください。では レンダリングをお楽しみください。

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