Marina Nakagawaさんの制作の美学を言葉で表現するなら、それは”喜び”かもしれません。下記の写真は彼女の NFT アート作品である「Night Garden」の一場面ですが、色の選択、柔らかな光の配置、抱きしめたくなるような可愛らしいホタルのデザイン、顔の表情など、笑顔にさせてくれるようなデザインの本質が捉えられていて、それらが一つにまとまって画面上で表現されています。
(NFT アートについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。)
Marinaさんのスタイルには無邪気さのようなものがあり、ヒップホップのミュージックビデオにさえコミカルなポップさを与えることができます。
Marinaさんの作品は奇抜だけど決して奇妙ではなく、カラフルであどけないけれど決して派手な子供っぽさはなく、温かく詩的ですが、決して皮肉さはありません。
(Cinema 4D でプロジェクトをレンダリングしてみたい方は、こちらのページをご確認ください。)
Marinaさんのスタイルは何に影響されているのでしょうか。それは彼女が日本で育ったことにあるのかもしれません。 日本人はデザインに関して、ある種の静かさ、独自性、控えめなスタイルを持っていることで知られています。 加えて品質と細部にこだわる職人気質であることでも知られており、Marinaさんの作品にもそれがはっきりと表れています。
おそらくそれは、Marinaさんが10代の頃に見ていたMTVの奇抜でシュールなミュージックビデオが影響しているのかもしれません。 それらのミュージックビデオの予測できないランダムな展開や空想的な表現は、Marinaさんの奇抜な表現の可能性を開いたのかもしれません。
そしてさらに、結婚を機に2016年に英国に移住し、そこで仕事を始めたことも影響しているのかもしれません。彼女は2019年にフリーランサーになるまで、広告系のスタジオでアニメーションの仕事を数多くこなしてきました。
Marinaさんほど繊細なスタイルを明確に表現できるアーティストはいません。 そして彼女の作品のスタイルは見ていて楽しいです。
MarinaさんがGarageFarm に出会ったのは偶然でした。当時、あるクライアントからイベント用に大きな画像をレンダリングするよう依頼されていて、納期が迫っていました。 Marinaさんは、自分がレンダリングファームのプロセスについて知識がないとわかっていたので、できる限りシンプルで直感的に作業できるレンダリング方法を探していました。 そしてGarageFarmが目に留まり、試してみようと思ったのです。
そしてそのまま採用してくださいました。 「プラグインのダウンロード、ウェブ上でのレンダリング操作など、とてもわかりやすかったのが良かったです。また、サポートの対応がとても素晴らしいです。質問するとすぐに返信がもらえて、エラーが起きた場合はすぐにファイルのチェックを行い、対応してくれたので本当に助かりました。
」とMarinaさんにおっしゃっていただきました。
Marinaさんが、GarageFarmのようなクラウドレンダリングのサービスを必要とする理由はその速度にあります。例えば、この記事の最初の画像は、11 秒の尺のループ動画の1場面です。 このアニメーション動画は、複数の光源と透明なマテリアルで作られたサーフェスの計264 フレームでできています。 Marinaさんの計算によると、彼女のPCを使用してプロジェクト全てをレンダリングするには、少なくとも 4 日はかかります。 しかしGarageFarmを使用することにより、プロジェクトは数時間でレンダリングされました。
このスピードがガレージファームを使用する一番の理由でしたが、加えてサポートもMarinaさんにとって重要でした。 レンダリングは常に何かしらの動きが影響しあう複雑なプロセスであり、ふとするとエラーがでることもあります。 レンダリング中のプロジェクトを綿密に監視してくれるサポートチームがいることで、時間、コストを大幅に節約でき、安心感も違います。
「実際に自分の思っていた仕上がりにできるのか、テクスチャやプラグインがリンク切れにならず、きちんとファーム上でも同じようにレンダリングされるかなど、少しドキドキしました。このあたりはグラフィックデザイナーが印刷所で作品を印刷するような気持ちだと思います。」と、Marina さんは初めてGarageFarm を使った時のことを語ってくれました。
「ただ実際に使ってみて、前の部分で回答したとおりトラブルがあってもサポートの対応が本当に早く、仕上がりも想定どおりだったので、本当に使って良かったですし、今後も必要な場合は使っていきたいと思っています。」
Marinaさんは、Blender や Unreal のような無料でありながら高品質の制作ができるソフトウェアが、ますます多くの人々、特に若者に可能性を与え、それがさらにCGIの技術を開拓していくだろうと期待しています。さらに、リモートワークが今まで以上に効果的だと認知されてきているので、今後アーティストのグローバルなコミュニティがさらに大きくなっていくだろうと考えています。
「言語や物理的な壁を超えて、日本のアーティストがどんどん世界へ羽ばたくことができるようになると考えています。」とMarinaさんは言います。
そしてさらに、Marinaさんは AR やメタバースに可能性を見出し、GLTF形式の作品をいくつかのプラットフォームに出展しました。 「(しかし一方で)知る限りまだマテリアルやライティングの表現に制作があるのを感じました。今後もっと洗練された表現ができるようになっていくと思いますし、そうなればコンテンツとしてとても面白いものができると思います。」 とMarinaさんは語ってくれました。
この記事の冒頭にあるMarinaさんの作品のショーリールで気づいた方もいると思いますが、彼女は 3D だけでなく 2D にも取り組んでいます。 Marinaさんは、3D と 2D を組み合わせることで、他では表現できない独自の表現が生まれると感じていて、そこに多くのエキサイティングな可能性を見出しています。 「2018年のSpider verse公開以降、The Mitchells vs. the MachinesやArcane、ENTERGALACTICなど、3Dと2Dが組み合わさったような表現が非常に流行しています。より個性的でアーティスティックな、とがった表現を前面に押し出した作品がここ数年で一気に増えると思います。」とMarinaさんは言います。
Marinaさんによると、アニメーションは日本ではかなり昔から幅広い年齢層に楽しまれてきたメディアですが、ヨーロッパやアメリカでは少し違うと言います。欧米では、アニメーションは子供向けであるという前提、または少なくともバイアスが常にありましたが、近年では少しずつ変わってきています。
「よりアーティスティックな表現を取り入れ、単にビジュアルの進化だけではなく、ストーリーもぐっと大人向けの、全年代が楽しめるアニメーションが増えてきました。」こう説明するMarinaさんは、この傾向が今後もしばらく続くのではないかと考えています。
彼女自身の制作に関しては、今後はより長い映画やアニメーションの作成に挑戦したいそうです。「ここ数年はずっと10秒以下の短いフォーマットで作品を作り続けていたのですが、それと平行して、もう少し長尺のショートフィルム制作に挑戦したいと思っています。」と語ってくれました。
Marinaさんの次の作品がショート作品か長編作品かはまだわかりませんが、魔法のような素敵な作品になることは間違いありません。
Marinaさんは主に Cinema 4D、Substance Designer、ZBrush、After Effects、Redshift を使用して制作をしています。Marinaさんの作品をもっと見たい方は、ウェブサイト、Instagram、Twitter から是非ご覧ください。