
CGIが静止画で見るとぼやけて見えることが多いのは、動いている状態でリアルに見えるように作られているためです。モーションブラーや被写界深度、アンチエイリアスといった効果は、動きの中でのリアリティを高めるために使われていますが、停止するとフレームがぼやけて不鮮明になることがあります。これは欠点ではなく、CGIがアニメーション向けに最適化されていること、そして人間の目が動く映像を前提に情報を処理していることによる結果です。
CGIは、コンピューターソフトを使って映像表現を作り出す技術です。映画やゲーム、広告などで、キャラクターや背景、エフェクト、さらにはシーン全体の制作にも使われています。デジタルで構築されているため、写真のようにリアルな表現から、デフォルメされたスタイルのアニメーションまで、幅広い表現を再現できるのが特徴です。

CGIは通常、1フレームずつ制作され、24fps、30fps、60fpsといった連続したフレームとして再生されることを前提としています(Spielcreative)。このように再生されることで、脳がそれぞれの画像を自然につなぎ合わせ、まとまりのある、生き生きとした映像として認識します。動きがあることで細かな不完全さは目立ちにくくなり、視線を意図したポイントへ導く役割も果たします。

人の目や脳は、動いているものと静止しているものを異なる形で認識するようにできています。動きの中では多少のブレに対して寛容で、むしろそれを自然なものとして受け取ります。高速で動いているのにブレが一切ない映像は不自然に感じられるため、CGIでは私たちの知覚に合わせる形で、あえてぼやけが加えられています。
「結局のところ大切なのは、『そのカットがどんな印象を与えるか』ということです。そのショットが感覚的にしっくりくるかどうか。(…)それが画面上に違和感として表れない限り、問題はありません。」― カレン・グーレカス(VFXスーパーバイザー/Den of Geek)
一部の静止フレームがぼやけて見えるのには、いくつかの要因があります。モーションブラーや被写界深度といったカメラ効果、アンチエイリアスやサンプリング処理、さらに圧縮による影響などが、その主な理由です。
モーションブラーは、実際のカメラで高速な動きを撮影した際に生じる、自然なブレを再現するための効果です。CGIを動きの中で見る場合、このブラーがリアリティを高める役割を果たします。しかし、1フレームで止めて見ると、ブラーがかかった途中の状態がそのまま残るため、被写体がにじんだり、ピントが合っていないように見えることがあります。

CGIでは、ギザギザした輪郭などの視覚的アーティファクトを防ぐために、アンチエイリアスのような手法を使ってピクセルの境界を滑らかに処理します(Adobe)。これらの処理は動画では効果的ですが、静止画ではエッジがぼやけ、全体的にシャープさが失われたように見えることがあります。Patrick による次のチュートリアルでは、アンチエイリアスの具体的な例と、その影響を抑える方法が紹介されています。
リアルタイムCGI(ビデオゲームなど)では、静止画としての完璧さよりも処理速度が優先されます。表現はパフォーマンスや動きの滑らかさを重視して最適化されています。また、映画品質のCGIであっても、レンダリングの判断基準は「止めた1枚がどう見えるか」ではなく、「動きの中でどう見えるか」に重点が置かれていない。
プロモーション素材やコンセプトアート、映画のポスターなどでは、高解像度で事前にレンダリングされたCGIが使われます。これらは処理速度や動きに最適化されているわけではなく、静止画としての美しさを最優先に作られています。そのため、1枚のフレームを仕上げるのに何時間もかかることも珍しくありません。

Arnold や V-Ray、Octane などの高度なレンダリングエンジンは、ライティング計算やテクスチャ解像度、細部表現に多くのリソースを割くことで、非常にシャープな静止画を作ることができます。また、アーティストが手作業でレタッチや調整を加えることもあります。こうした重たいデータはレンダリングに何日もかかる場合がありますが、レンダーファームを使えば、それを数時間程度まで短縮できる点も大きな利点です。
シャープなCGIの静止画を作るには、動きのリアリズム重視から、1フレームの完成度へ優先順位を切り替える必要があります。スピードや滑らかな動きを優先するのではなく、止まった一瞬の中での明瞭さや正確さ、視覚的なインパクトに焦点を当てます。次に、そのための方法をご紹介します:
サンプル数が少ないことで発生するノイズやエッジの粗さを解消するには、レンダリング時のサンプリングを大幅に引き上げることが重要です。そうすることで、ライティングや影、テクスチャの細部まで、より精密に表現できるようになります。V-Ray や Arnold のようなオフラインレンダリングでは、リアルタイムエンジンと違い、より長いレンダリング時間をかけることで、はるかに高品質な結果を得ることができます(Autodesk)。
モーションブラーはアニメーションでは効果的ですが、静止画では鮮明さを損なう原因になることがあります。プロモーション用の静止画では、ブラーを弱めたり、完全にオフにしたりして、画面全体にしっかりとピントが合うように調整することがよくあります。そうすることで、被写体がよりシャープで輪郭のはっきりした印象になります。
「私は1枚1枚のグラフィックイメージを完成されたビジュアルとして制作していたので、動きを表現するためのモーションブラーを完全に排除し、被写界深度もすべてにピントが合うようにする必要がありました。」― ブルース・ローガン(映画監督)(アメリカ撮影監督協会)
動いている状態では問題なく見える低解像度のテクスチャも、静止画で見るとぼやけた印象になることがあります。シャープなビジュアルを目指す場合は、高解像度のテクスチャマップやディスプレイスメントマップ、細部まで作り込まれたモデルを使用し、拡大して見ても破綻しないクオリティを確保することが重要です。

反射や屈折、グローバルイルミネーションは、CGIの静止画におけるリアリティを大きく左右します。レイトレーシングをフルに有効化し、バウンス数を増やしたり、コースティクスや正確な光のシミュレーションを行ったりすることで、1枚のフレームでも奥行きや物理的な説得力が際立つ画になります。ただし、特にリアルタイムCGIでは、これらの設定がパフォーマンスにどのような影響を与えるのかを理解することも重要です。ビデオゲーム分野では、レイトレーシングによってリアリズムが大きく変わる例として、Black Myth Wukong を取り上げた MxBenchmarkPC の動画が参考になります:
どれほど高品質なレンダリングであっても、仕上げのポストプロセスによって完成度はさらに高まります。アーティストは Photoshop などのソフトを使い、シャープさの調整や色補正、ライティングの微調整、レンダリング時に生じたノイズやアーティファクトの除去を行います。こうした最終工程によって、静止画にシネマティックな仕上がりが加えられます。
最終出力よりも高い解像度(たとえば 4K や 8K)でレンダリングし、その後にダウンスケールすることで、エイリアシングを抑え、全体のシャープさを高めることができます。これは、VFX や写真の分野でもよく使われている定番のテクニックで、よりキレのある仕上がりを得るための有効な方法です(Cloudinary)。
アニメーションでは、ライティングは動きの一貫性を重視して組まれることが多くありますが、静止画ではマルチポイントライトやリムライト、HDRI など、ドラマ性のある複雑なライティングを用いてコントラストや視覚的な印象を強めるなど、自由な表現が可能です。同様に、カメラ設定も、絞りやシャッター角、レンズの選択などを、動きではなく見た目の美しさを優先的に調整することができます。

静止画で見ると CGI がぼやけて見えるのは、技術的な欠陥ではなく、CGI がどのように設計され、どのように知覚されるかを反映した結果です。CGI は「動いて見る」ことを前提に作られており、モーションブラーや被写界深度、アンチエイリアスといった効果は、自然でリアルな映像体験を生み出すために取り入れられています。しかし、これらの効果は一時停止された1フレームとして切り取られると、柔らかく見えたり、少し不鮮明に感じられることがあります。この仕組みを理解することで、CGI の見た目に対する違和感が減り、映像としての表現や制作者の意図、そしてそのアート性をより深く楽しめるようになります。