1.レンダーファームでレンダリングする際に注意すること
2.テストの重要性と問題把握
3.アニメーションのテスト方法(ステップ)
4.フリッカー/ノイズテスト
5.静止画のテスト
6.低解像度のアニメーションテスト
7.時間の見積もりと優先順位
8.まとめ
このガイドのパート1では、さまざまなオンラインレンダーファームの種類、一般的なクラウドレンダリングのワークフロー、一般的なコストと時間の見積もり方法、レンダリング前に必要な準備などについて説明しました。
パート2では、オンラインファームにおいて非常に重要なテスト方法について詳しく説明します。
レンダーファームは、少しでも変更されたシーンを別のシーンとみなします。小さな変更により、稀に時間とコストが予想以上にかかってしまう場合があります。
そのため、まず事前にファームでシーンのテストをすることが重要です。小さなプロジェクトをたくさんレンダリングする場合はあまり意味がないかもしれませんが、大きなプロジェクトの場合は小さな変更でも、再確認することをお勧めします。
注意: ファームは、ローカルPCでレンダリングするのとまったく同じようにシーンをレンダリングするよう設計されています。ご自分の環境でレンダリングに問題がある場合は、レンダーファームでも正しくレンダリングされない可能性があります。
レンダーファームを問題なく使用するために、全範囲のアニメーション、またはフル解像度の静止画をレンダリングする前に、ファームでテストを実行して下さい。
テストすることにより事前に費用感を把握でき、潜在的問題も発見できるので、万が一問題が発生した場合でもすぐに解決して正常にレンダリングすることができます。
ただし、レンダーファームのワークフローがどれほどシンプルであっても、問題が発生する可能性があることをご留意ください。
もし上記のような問題の可能性があったとしても、テストを事前に行うことにより、時間とお金を浪費する懸念を回避できます。
本番レンダリングの前に、シングル、または複数のアニメーションのフレームをテストすることで、正確なコストの見積もりを得ることができ、本番レンダリングの前にシーケンス全体の品質を確認することができます。
ステップでテストを行うことにより、フレーム範囲全体を均等に確認でき、すべてのアニメーションのパーツとそのレンダリング時間を計算できます。
例:1〜400のフレーム範囲をレンダリングする場合は、20フレームごとにステップとしてレンダリングするため、20個のテストフレームがシーケンスに沿って均等に分散されます。
この範囲から1フレームの平均コストを取得し、それをシーケンス内のフレーム数で掛け算すると、アニメーション全体のレンダリングコストの見積もりが得られます。
この範囲から1フレームの平均レンダリング時間を取得し、それにフレームの総数を掛けると、すべてのレンダリングの合計時間が得られます。多くのノードがレンダリングしているため、プロジェクトのレンダリングのリアルタイムは比例して短くなります。
例:ステップ20で100フレームのテストをレンダリングしたとして、コストが$ 0.90、$ 1、$ 1、$ 1、$ 1.10の5つのテストフレームを取得した場合、フレームあたりの平均コストは1ドルなので、範囲全体のレンダリングには約100ドルかかります。
すべてのレンダリングエンジンは、特に品質設定が低すぎる場合に、ノイズなどのアーティファクトを生成する可能性があります。グローバルイルミネーションのキャッシュを作成するGIソリューションは染みになる可能性があり、ブルートフォース/ QMC /パストレーシングエンジンは、ノイズを伴う可能性があります。
これらの影響はフレームごとに分布が変化するため、静止画像よりもアニメーションで顕著になります。すべてのフレームが異なるコンピューターでレンダリングされる分散レンダリングにおいて、それぞれGI計算の方法が少し異なるためです。
本番レンダリングの前に5〜20の連続するフレームの「フリッカーテスト」を実行し、適切にアニメーション化されるか確認することをお勧めします。
場合によっては、問題を取り除くためにGIのベイク/プリキャッシュが必要になります。大抵のファームは、一般的なイラディアンスキャッシュのGIソルバーの自動キャッシュをサポートしていますが、コンピューターで生成されたキャッシュを使用することもできます。
レンダリング能力が十分でない場合は、ファームのサーバーの1つにリモートアクセスし、GIベイク処理(または他の種類のキャッシュ)を準備できます。
静止画像がレンダーファームでどのようにレンダリングされるか、またそのコストとレンダリング時間の見積もりを取得するには、最初に低解像度でテストをすることをお勧めします。
このテストに基づき、フル解像度の見積りを算出できます。
たとえば、最終的なレンダリングが2000x2000pxになる場合、500x500pxでテストを実行します。
最終的な費用の見積もりは、テストの費用の約16倍になるので、テストの解像度が1 / 4〜1 / 5を下回らないようにすることをお勧めします。
さまざまな解像度でレンダリングされた静止画像のレンダリング時間は、常に直線的にスケーリングされるとは限りません。 そのため、静止画像のテストは、ステップを使用したアニメーションのテストほど正確ではない場合があります。
レンダーファームのすべてのレンダリングプロセスは、解像度に依存しない部分と以下の2つの部分に分かれます。
たとえば、ライトキャッシュ+イラディアンスマップを使用したV-Rayレンダリングの場合、解像度に依存しない部分は次のとおりです。
解像度に比例してレンダリング時間が増加する部分は次のとおりです。
低解像度でのテストの場合、見積りにどのように影響するか見てみましょう。
低解像度テストでは、解像度とともにレンダリング時間が急速に増加するため、最終的な見積り結果が、実際の静止画像の本番レンダリングの時間とコストよりも低く算出される場合があります。
いくつかの例をご紹介します。
オンラインレンダーファームを使用する際に、毎回このように細かく計算を掘り下げる必要はありませんが、静止画のテストは解像度に正比例する関係にあり、スケーリングできませんので、テストの解像度を低く設定しすぎないようにしてください。
通常、低解像度でテストを行うより、ステップを使用してアニメーションをテストすることをお勧めしています。理由は前述した静止画像のテストと同様で、低解像度でのテストはアニメーションのプレビューの確認や、クライアントに提示する素材としてのみ使用できます。
フレームが小さい場合、本番レンダリングの準備が全てできているかどうかを判断するのに十分な情報が得られない場合があります。ステップでのテストよりも費用がかかり、加えて、本番レンダリングの際にこのフレームを使用することはできません。
フレームを取得する時間は、プロジェクトのボリュームや使用されているノードの数だけで決まるわけではないため注意が必要です。 加えて、その時点でのファームの負荷に依存するため、動的に変化します。
大抵のレンダーファームでは、価格のバランスを取り、ニーズに合わせてスピーディーにレンダリングするために優先順位の選択を提供しています。優先度によって、プロジェクトに割り当てられるノードの数と、ジョブが待機キューのどこに配置されるかが決まります。
レンダーファームは究極の時間節約であり、高価なコンピューターネットワークに投資したくない人にとっては最適のソリューションです。社内に独自のファームを所有するスタジオでさえ、さらに多くの計算能力を必要とすることがあります。
他のサービスと同様に、本番レンダリングをする前にレンダーファームをテストすることをお勧めします。シーンはご自身のコンピュータと違う環境でレンダリングされるため、レンダリング中にいくつかの問題が発生する可能性があります。
レンダーファームのコスト計算ツールで大まかな見積もりを取得できますが、技術的な観点からもプロジェクトのテストを実行することをお勧めします。
・アニメーションのテストにはステップを使用し、静止画像のテストは低解像度で実行することで、本番レンダリングの正確な見積もりを得ることができ、シーンがファームのネットワークで適切にレンダリングのされるか事前に確認できます。
・いくつかの連続したフレームをテストすることにより、プリキャッシュGIを使用しないアニメーションでの、ちらつきを回避することができます。
レンダリング時間はその都度変わりますが、ジョブ管理ツールを使用すれば必要に応じて優先度を簡単に変更できます。
ご不明な点がございましたら、弊社の経験豊富なサポートチームが喜んでお手伝いしますので、いつでもご連絡ください。レンダーファームを日本語でお使いいただけます。
このガイドのワークフローとヒント、制作や他の作業の効率アップに繋がれば嬉しいです。
ハッピーレンダリング!
このガイドはMichałMośによって作成され、GarageFarm.NETのチームにより編集されました。このガイドの知識は10年以上レンダーファームに従事してきた豊富な経験から作成されています。
MichałMoś(別名「Andrew」)は、アニメーションからトラブルシューティング、テクニカルライティングまで、3Dレンダリングのトピックを専門とするGarageFarm.NETチームの一員です。彼は、CGアーティスト、デザイナー、インストラクターとして、数多くのデザインおよび建築会社で働いてきました。主に 3ds Max、C4D、V-Ray、Octaneを使用しています。彼は絵を描くこと、執筆、そしてボードゲームのRPGが大好きです。
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