Adobe が Allegorithmic (Substance の作成者) を買収して以来、このソフトウェアを使い続ける価値があるのか、それとも Quixel Mixer のような別のソフトウェアに切り替える時なのかを考えてきたユーザーの方も多いのではないでしょうか。 今日は、Substance Painter から Quixel Mixer に切り替えたい方に、知っておくと便利なヒントをご紹介いきます。
しかし紹介する前に、まず各ソフトウェアの長所と短所を確認しておきましょう。 テクスチャリング ソフトウェアを選択するときに考慮しなければならない 3 つの主な機能は以下になります。
これはほとんどのアーティストが、製品を選ぶ際に最も重要視する要素です。 3D アートを始めるようと思った時に、最初からお金を気前よく使える初心者は多くありません。 3Dアートの初心者の多くが 3ds Max や Maya ではなく Blender から始める傾向があるのはこのためであり、またほとんどの有料ソフトウェアの場合、最初にまず付属している 30 日間の無料試用版を体験する必要があるためです。 そのことを思えば、Quixel Mixer は無料で使用でき、すでに Megascans という適切なマテリアル ライブラリが付属しています。
注意点は、Megascans ライブラリ全てには無料でアクセスできますが、Unreal Engine 内でしかアクセスできないことです。 あなたが個人的に趣味で3Dを作っていたり、またはフリーランスのアーティストである場合は、ニーズと収益範囲に合った有料プランに加入する必要があります。Quixel Mixer の個人プランは月額 19 ドルで、Adobe Substance 3D Painter のインディー ライセンスと同じ価格です。
3D アセットのテクスチャリングを始めたばかりで、他に何も浪費したくない場合は、Quixel Mixer から始めるのがコスト的に最も理にかなっています。 ただし、本番環境で使用しようと考えている場合は、どちらも同じ費用がかかります。 そのため、マテリアル ライブラリの使いやすさと品質を考慮して、最終的にどちらを使用するかを決めることになります。
使いやすさに関しては、もう少し簡単に比較できます。 スマート マテリアルを使用するには、ユーザーはメッシュ マップをベイク処理して、マテリアル内のさまざまなレイヤーを操作する必要があります。 この記事を書いている時点では、Substance Painter にはベイク機能が組み込まれていますが、Quixel Mixer にはまだ組み込みのベイク機能がありません。 つまり、Mixer 用にマップをベイクしたい場合は、Marmoset Toolbag などのサードパーティのベイク機能を使用する必要があり (これには、別のサブスクリプションを支払うか永久ライセンスを購入する必要があります)、またはXNormalのようなフリー ソフトウェアを使用する必要があります。
そして考慮すべきもう 1 つの点は、実際のテクスチャリング体験そのものです。 ほとんどの場合、どちらも同じように機能を使えますが、特定の関数の名前の付け方など、細かい部分が違います。
多くのパラメータには明確なラベルが付けられており、アセットをテクスチャリングしているときに、何を変更しているかを正確に把握できます。
ただし、それらを Quixel Mixerと比較すると、特定のパラメーターについては、何を表示しているのかわからなくて混乱するかもしれません。 それ以外はほとんどの場合、ユーザー インターフェイス、キーボードのショートカット、テクニックなど好みに基づいて選ぶといいでしょう。
この部分が一番興味深いところです。 どちらのソフトウェアにも、すぐに使えるマテリアル ライブラリが付属しています。 違いは、これらのマテリアルが作成された方法です。 Substance の場合、手続き型で生成されたマテリアルは、Substance 3D Designer と呼ばれる別のソフトウェア内で作成されます。
これらはすべて手続き型生成されるため、必要に応じてベースカラーや粗さなどのパラメータを簡単に変更できます。
Allegorithmic には Adobe Substance 3D Assets というマテリアル ライブラリもあり、マテリアルだけでなく 3D アセットや HDRI も購入できます。 ただし、Quixel との違いは、マテリアルがすべてスキャン データに基づいていることです。
これにより、Substance マテリアルのようにパラメーターを自由に変更できない代わりに、アセットに様々なリアリズムが与えられています。
また、3D アセット、マテリアル、さらには人体をダウンロードできる Megascans というストアもあります。 以上のことを比較してみて、Substance マテリアルのカスタマイズ性を採用するか、Megascans マテリアルのリアリズムを採用するかはあなた次第です。
考慮すべき最後の点は、Substance 製品はブランドとしての認知度を確立させるために時間を費やしたため、業界標準と見なされているということです。 スタジオやチームで働きたいと思ってテクスチャーを学んでいるのであれば、Substance の経験があることは、有利になります。 しかし自分が作りたいものを一番重視していてQuixelに必要なものがすべて揃っているのなら、それで問題なく制作できるはずです。
以上のことから、この記事を読み進めていく前に、自分が何をしようとしているのかについて明確にしておきましょう。Quixelに切り替える必要があるなと思ったら、それに必要な重要なヒントを見ていきましょう。
Quixel Mixer を初めて開くと、プロジェクト マネージャーが表示されます。 左側のプロジェクトは基本的に、アセットを整理しておくための単なるフォルダーです。
メッシュをインポートするには、drop-down list > [custom model] をクリックし、メッシュをクリックします。
ベイク マップをインポートするには、[edit texture sets] をクリックします。 ここでの入力に基づいて、法線、アンビエント オクルージョン、曲率、およびマテリアル ID マップが必要になります。
問題は、Substance 3D Painter および Designer とは異なり、Quixel Mixer にはまだビルトインのベイク機能がないことです。 そのため、マップを外部のベイク機能でベイクする必要があります。 個人的には Marmoset Toolbag が高速で使いやすいので気に入っていますが、今回は無料の XNormal を使用します。
Blender 内では、ローポリ メッシュとハイ ポリ メッシュがパーツに分割され、各パーツが同じ原点を共有しています。
きれいにベイクするには、メッシュを分解する必要があります。 検索に移動し、pivot > と入力して、locations only をクリックします。 トランスフォーム ピボット ポイントを 3D カーソルに切り替えてから、スケーリングします。
ここでは、何も重なっていないことを確認してください。パーツを選択して、重ならなくなるまで拡大縮小します。 それが完了したら、ローポリメッシュとハイポリメッシュを obj としてエクスポートします。
これらを XNormal 内でベイクするには、[high definition meshes] をクリックし、右クリックしてメッシュを追加し、ハイ ポリゴンを選択します。 ローポリについても同じことを行います。
それらがロードされたら、ベイク オプションをクリックし、出力フォルダーを選択し、法線マップをクリックしてから、マップの生成をクリックします。
法線マップに大量のベイク エラーがあることを除けば、非常に簡単です。 これは、ベイク用のケージが必要だからなのですが、ローポリを複製し、きれいに保つために「cage」と呼ばれる新しいレイヤーに移動させます。「cage」レイヤーのみが選択可能であるようにしてください。
編集モードに入り、面選択モードに切り替えてから、ALT + S を押して法線に沿ってスケールします。
ここでは、ハイポリとローポリの両方をカバーするのに十分な大きさにしてください。もう一つヒントとして、すべてのcage メッシュを選択して CTRL + F2 を押すと、それらの名前をバッチで変更できます。
サフィックスを入れて、「cage」のような名前に置き換えます。 すべての準備が整ったら、エクスポートします。 次に、低解像度メッシュに移動し、右クリックしてexternal cage fileを参照し、ケージメッシュをインポートします。
マップの生成をクリックすると、きれいな法線マップが作成されます。 きれいなことが確認できたので、解像度を上げて、アンビエント オクルージョンと曲率マップをベイクします。
約 1 時間半後、すべて問題なく動作するはずでしたが、曲率マップのベイク処理で エラーが発生しました。 XNormal では曲率マップを修正できませんでしたが、Photopea (または Photoshop/GIMP など) を使用して法線マップから得ることができるため、問題ありません。
法線マップをドラッグ アンド ドロップするだけです。 まず、チャンネルをクリック > 次に緑色のレイヤー > CTRL + A ですべてを選択 > CTRL + C でコピー > レイヤーに戻り、CTRL + V で貼り付けます。 次に、赤いレイヤーに対して同じことを行います。 それらにラベルを付ければ、どれがどれであるかを確認できます。
次に、緑のレイヤーをクリック>filter >stylize>emboss>に移動し、角度を90に、ピクセルの高さを3に設定します。次に、赤のレイヤーに対しても同じことを行いますが、角度は0に設定してください。次に、ブレンドモードを設定し、オーバーレイします。 次に、青いチャネルをコピーし、 CTRL + I で反転 、 そしてブレンド モードをスクリーンに設定しましょう。
次に、透明な背景を修正するには、新しいレイヤーを追加し、色を灰色に設定し、編集に移動して塗りつぶしをクリックします。 これで曲率マップができました。
最後に、マテリアル ID マップをベイクします。 これには、パーツに頂点カラーを割り当てる必要があります。 ビューポートのシェーディングが頂点に設定されていることを確認してください。
次に、ハイポリゴンに移動し、頂点ペイント モードに切り替えて、ランダムな色を選択し、SHIFT + K を押して色を設定します。
すべてのパーツに対してこれを行い、ローポリ、ハイポリ、およびケージメッシュを fbx ファイルとしてエクスポートし、それらを XNormal にインポートしてから、マテリアル ID マップをベイクします。
Quixel Mixer に戻り、[import all maps] をクリックして、マップがすべて配置されているフォルダーを選択し、そこに進みます。 ネーミング規則により、マテリアル ID がインポートされませんでした。
これで、フォルダーアイコンをクリックして手動でインポートするか、設定をクリックして ID マップのサフィックスを追加することができます。 フォルダをもう一度選択すると、今度は正しくインポートされるでしょう。
レイヤーをクリックして、実質的には Mixer のシェルフであるローカル ライブラリからマテリアルをドラッグしましょう。 レイヤータブに表示するには、「add layer set」をクリックすると、その下にマテリアルが表示されます。
特定のパーツにプラスチックを適用するには、フォルダに追加 > マテリアルを内部にドラッグ > 右クリック > ID マスクを追加します。 これで、Q を長押しすれば、マテリアル ID マップに基づいてマスクしたいパーツを選択できるようになりました。
マテリアルを変更するには、レイヤーをクリックすると、右側にマテリアル プロパティが表示されます。 プラスチックの色をオフホワイトに変更します。
ここからは、Painter で行うのと同じ方法でテクスチャを適用できます。
現時点では、Mixer は不透明度とエミッシブ マップに対応していません。 回避策として、アルベドを白に設定した塗りつぶしレイヤーを追加します。 そしてガラスのような透明なものには灰色の塗りつぶしレイヤーを追加し、切り取りたいものには黒い塗りつぶしレイヤーを追加します。
終わったら、アルベドマップとしてエクスポートし、名前を opacity に変更します。 エミッシブ マップにも同じ方法を使用できます。
マップをエクスポートするには、エクスポート先を選択して、[export to disk] をクリックするだけです。 しかし、ゲーム エンジンなどの特定のソフトウェア用にマップをエクスポートする必要がある場合は、Quixel Bridge の出番です。
エクスポート先をライブラリ > に設定し、exportをクリックします。 Bridge を開き、[local] をクリックし、[Mixer] の下に、エクスポートしたばかりのアセットが表示されるはずです。
ここから、エクスポート設定をクリックして、エクスポートするテクスチャ マップの種類を指定できます。
この場合、Unreal Engine にエクスポートします。 これで完了です。
いろいろと紹介してきましたが、無料のソフトウェアを使用するだけで、かなりまともな結果を得れることがわかりました。 しかしもしあなたがプロのアーティストで、大量のアセットをテクスチャリングせねばならず、締め切りも迫っている場合、時間とエネルギーを節約するためにサービスの利用を検討する必要があります。
とにかく、このチュートリアルがお役に立ったことを願っています。 読んでいただきありがとうございました。
ではいつものように、GarageFarm.NET でのレンダリングをお楽しみください。