学校ごとに、応援ソングやエールの掛け声、メインスポット、マスコットなど、受け継がれてきた文化があります。IAMSTATICは、こうした各校ならではの要素を3Dで表現しました。そのうえで、プロジェクト全体のビジュアルには統一感を持たせています。
GarageFarmのレンダリング支援を受け、制作チームはSECの「It Just Means More」キャンペーン用に、16校それぞれを表す200点以上のオリジナルアセットを制作しました。各校の建物やシンボル、文字デザイン、伝統、校歌、地域性を感じさせるモチーフを組み合わせ、学校にゆかりのある人ならひと目で親しみを覚えるビジュアルに仕上げています。
数十年にわたり育んだクリエイティブなパートナーシップ

IAMSTATICは、高校時代から共に制作を続けてきた長年のクリエイティブ・パートナーによって設立されました。二人は美術学校を経て、エージェンシーやスタジオでともにキャリアを築いてきました。その経験を通じて、業界をさまざまな立場から見渡す幅広い視点を培うと同時に、互いの考え方を直感的に理解できる関係を築いています。
「長年一緒に仕事をしてきたので、言葉にしなくても互いの意図をすぐに理解できます。その関係が、IAMSTATICの活動の基盤になっています。」──IAMSTATICの共同創業者、Dave Greene
長年の協業で築いた信頼と意思疎通の速さを強みに、IAMSTATICはデザイン、モーション、アニメーション、テクノロジーを横断して制作しています。特定の分野に限定せず、プロジェクトごとに最適な手法を選びながら取り組むスタジオです。
アイデアを起点にプロジェクトを組み立てる

プロジェクトの開始時にチームがまず考えるのは、クライアントが何を必要としているのか、この仕事を制作する目的は何か、そして伝えるべきストーリーをどうすればより印象的で意外性のあるものにできるかです。リサーチや試行も大切ですが、まずアイデアを固め、そのコンセプトに沿ったツールを選びます。

「ツールを先に触り始めて、そこからアイデアを生み出そうとするやり方には、ならないようにしています。」──Dave Greene
方向性が決まった後で、IAMSTATICは作りたいものに合わせてソフトウェアを選びます。複雑さや新しさを基準に選ぶのではありません。たとえばTyFlowは、扱いやすいのでエフェクトを素早く制作するために使っています。Unreal Engineは、インスタレーション空間をVRで事前に確認したり、社内のゲーム企画を試作したりする際に役立てています。ただしスタジオにとって、どのツールも最終的には映像やビジュアルをつくるための手段の一つです。何を使うべきかは、プロジェクトの内容と、それを扱うアーティストによって決まります。だからこそIAMSTATICは、特定の手法にこだわらず、常に柔軟な姿勢で新しい可能性を探っています。
16校の歴史と伝統をビジュアルに落とし込む
SECのキャンペーンでは、16校それぞれの個性を保ちながら、全体として一貫したビジュアル表現を作ることが求められました。IAMSTATICはそれに対し、200点を超えるアセットを制作しました。アセットには、校舎や小道具、文字デザイン、マスコット、応援コール、校歌、地域にゆかりのあるモチーフなどを取り入れています。

チームは、多様な要素をひとつの画面にまとめるため、構成にいくつかのルールを設けました。大きな建築物を画面の軸に据え、その周囲に小さなオブジェクトを配置する構成を多く採用しています。タイポグラフィも単なる文字情報ではなく、画面構成を組み立てる要素として扱いました。各フレームの情報を整理し、視線を導く役割を持たせています。
IAMSTATICはまず、各校の特色を表現するために、歴史や名所、地域とのつながりを調べました。そして、集めた資料を共有のFigmaボードに整理し、それをプロジェクト全体の方向性を示す、制作の指針として使いました。

このボードを使うことで、チームは依頼された要素を漏れなく確認しながら、それぞれの要素のつながりも知ることができました。その結果、その学校を知る人に響くような、小さなモチーフや隠し要素も映像の中に盛り込めるようになりました。
各校のらしさを、一つひとつの画面に込める

ビジュアルは、競技やシーズンが変わっても各校のものだとすぐに分かる必要がありました。そのためIAMSTATICは、特定の大会や一つのチームだけを中心に据えるのではなく、学校を象徴する物や場所、言葉、伝統を組み合わせて、各校のアイデンティティを表現しています。

「背景に置くものまで、すべて丁寧に扱うよう意識しました。どの画面にも、その学校らしさを伝えるポスターのような役割を持たせたかったのです」──Dave Greene
学校を象徴するものの中には、そのまま形にしにくいものもあります。たとえばUniversity of Arkansasの名物である「Wooo Pig Sooie」の応援コールです。校舎やマスコットなら、見た目をもとに3Dで再現できます。しかし応援コールや歌は、観客の声、リズム、身ぶり、会場の盛り上がりによって生まれます。IAMSTATICはそうした目に見えない要素も、映像の中で自然に伝わる形に仕上げました。
コラボレーションによって形になったプロジェクト

IAMSTATICにとってこのキャンペーンは、スタジオがこれまで培ってきたアイデアや表現を存分に生かす機会となりました。IAMSTATIC、IAS、エージェンシーが緊密に協力したことで、チームは長年にわたるクリエイティブな試行錯誤の成果を、ひとつの表現として形にすることができました。
IAMSTATICは、クライアントとの関係づくりを制作プロセスの中でも特に重視しています。クライアントが何を大切にしているかを理解することが、その後の表現や判断すべての基準になるからです。
「私たちの仕事は、アニメーションを納品して終わりではありません。仕事を通じて、相手との関係を築くことも大切です」──Dave Greene
GarageFarm.NETを技術パートナーとして活用

シーンの制作が仕上げ段階に入ると、レンダリングの進み具合が納期や制作環境に直接影響します。アーティストが確認と修正を素早く繰り返すためにも、安定したレンダリング環境が欠かせません。IAMSTATICはGarageFarm.NETのサービス開始当初から利用しています。技術的なトラブルだけでなく、納期や制作の流れも理解した担当者に相談できる点を信頼しています。
「GarageFarmはチームの一員のような存在です。困ったときに、いつでも頼れると感じています」──Dave Greene

プロジェクトのあるシーンで、レンダリングに予想以上の時間がかかり、IAMSTATICのチームが原因を調べましたが、特定できませんでした。そこでGarageFarm.NETの技術チームに相談し、ファイルを直接開いて確認してもらい、問題を突き止めました。
「問題のあるファイルの原因を一緒に調べてくれたり、自分たちより先に不具合に気づいてくれたりするサポートがいることは、本当に心強いです」── Dave Greene

IAMSTATICはクライアント案件で他社のレンダーファームも利用してきました。その経験から、操作が分かりやすいこと、ジョブを管理しやすいこと、価格が手頃であること、そして困ったときにすぐサポートへ相談できることを重視するようになりました。
「いざという時には、GarageFarmはレンダリングだけではなく、問題解決にも協力してくれます。私たちのすべてのプロジェクトにおいて、Garagefarmを単なるレンダーファームとしてだけでなく、レンダリング作業とトラブル対応の両方を任せられるパートナーとして頼りにしています」── Dave Greene
スタジオらしさを保ちながら、進化を続けるツールを取り入れていく

IAMSTATICは、今後数年で制作ツールや制作環境が大きく変わると考えています。変化の波があるからこそ、制作は面白くもあり、ときには不安にもなるといいます。IAMSTATICはAIも、新たな表現のためのツールの一つと捉えています。AIは今後、制作の進め方に大きな影響を与えるでしょう。しかし、誰もが同じ技術を使えるようになれば、作品の個性を決めるのは、アイデア、コラボレーションのパートナー、個人的な判断など、人の側にある要素が重要になると考えています。
「これから大切になるのは、作品に信憑性があること、そして人とのつながりです。誰もが同じツールを使えるようになれば、完成した映像だけでは差がつきません」──Dave Greene
独自性を保つために、レンダリングを自分たちでコントロールすることも重要です。カメラのレンズ設定、光の当て方、素材の質感、画面の構成まで、使うアプリケーションや制作手法が変わっても、IAMSTATICならではのビジュアルであることを大切にしています。

「It Just Means More」キャンペーンには、IAMSTATICの制作スタイルがそのまま表れています。まず何を伝えるかを考え、関係者と意見を交わしながら、表現に合う手法やツールを選んでいきました。この制作では、校舎や応援コール、学校にまつわる思い出といった、性質の異なる要素を一つの世界観にまとめています。単にモチーフを並べるのではなく、それぞれが学校にとってどんな意味を持つのかを踏まえて表現することで、卒業生や在校生が見ればすぐに自分の学校だと分かる映像に仕上げました。
現在IAMSTATICは、チームの体制と提供できる表現の幅を広げる新プロジェクトの発表に向けて準備を進めています。これにより、新しい形式の制作や新たなクリエイターとの協業が可能になり、これまで以上にアイデアを起点とした作品づくりができるようになりました。
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