導入事例

「Robert the Robot」を生んだ3Dアーティスト、ジョナサン・アーウィンの創作に迫る

アニメーション
White grid pattern forming a stepped circular shape on transparent background.White grid lines forming a stepped circular shape on a transparent background.White grid pattern with evenly spaced horizontal and vertical lines forming squares over a transparent background, arranged in a curved lower edge.

ジョナサン・アーウィンのアニメーションを見ていると、誰かの夢の中にいるような気分になります。どこか見覚えのある風景や出来事が描かれているのに、ふとした瞬間に違和感が現れます。その不思議さに引き込まれながらも、奇妙な出来事を違和感なく受け止められます。

「Robert the Robot」は、ジョナサン・アーウィンの作風がよく表れた短編作品です。

主人公のロバートは、ルンバのような丸いボディに、BB-8のような動き、子犬のような愛嬌をあわせ持つロボットです。冒頭では、ロバートが窓の外に降る雨をじっと見つめます。その表情からは、外の世界へ出てみたいという気持ちが伝わってきます。この作品には、せりふがほとんどありません。それでも、目の動きやしぐさだけでロバートの感情が伝わります。ジョナサンが制作のヒントにしたと語る映画「ウォーリー」のように、言葉を使わずキャラクターの気持ちを描く表現が、この短編の魅力です。

夢の中の出来事のように、この作品で描かれるのは一見するととてもシンプルで、ありふれた日常です。家族が留守のあいだ、ロバートはひとりで家を守り、ときには遊びながら帰りを待っています。やがて家族が帰宅し、ロバートはうれしそうに迎える――描かれる出来事は、ただそれだけです。

けれど夢の中では、どんなにありふれた場面にも、感情や意味、美しさが宿ります。ロバートの金属製の目に落ちる光。ほかのおもちゃたちと過ごす姿。家族を迎えるときに首をかしげるしぐさ。そして、窓に差し込む車のヘッドライトで家族の帰宅を知る瞬間。こうした細かな描写の一つひとつが、ロバートの気持ちや作品の温かさを伝えています。

作品のすべてのフレームには、言葉で説明しきれない独特の空気が流れています。あえて言うなら、それは温かさと愛情に満ちた空気です。音楽やライティング、そしてジョナサンが細部に込めた気配りによって、ロバートはただ動くキャラクターではなく、まるで夢の中にいるような、どこか現実を超えた存在となっているのです。

ジョナサンの作品に通う夢のような空気は、「Robert the Robot」だけに限りません。彼のInstagramをのぞくと、幻想的な情景から白昼夢のような世界、ときには少し不穏な悪夢を思わせる映像まで、多彩な作品が並んでいます。たとえば、森の奥で謎の宇宙船に出会う兵士たち。宙に浮いた岩がエレクトロポップに合わせて踊り出す場面。復讐を果たすクラッシュテストダミー。風に揺れる葉でさえ、見慣れた動きを超えた、不思議な存在感を持っています。身近なものを少しだけ違う角度から見せることで、ジョナサンは日常を幻想的な世界へと変えていきます。

夢のような映像を支えるツールと技術

幻想的な作品の裏には、確かな制作技術があります。ジョナサンは2009年にAfter Effectsを使い始め、2012年から3D制作にも取り組むようになりました。長年にわたってスキルを磨き、現在はモデリングに3ds Max、レンダリングにはプロジェクトに応じてRedshiftとV-Rayを使い分けています。修正や再レンダリングが多い商業案件では、処理速度を重視してRedshiftを使用します。一方で、自身のポートフォリオ作品では、仕上がりの表現力を重視してV-Rayを選んでいます。

「Robert the Robot」では、3ds Max用のV-Rayとオンラインレンダーファームを組み合わせて制作しました。自身のPCでは約25時間かかるレンダリングも、GarageFarmでは低優先度の設定でわずか2時間で完了したといいます(レンダーファームの優先度設定の詳細はこちらをご覧ください)。レンダリング処理をGarageFarmに任せることで、作業用PCを空けたまま、ほかのシーンの制作を進めることができました。

「Robert the Robot」の魅力は、3D表現だけではありません。作品ならではの空気感は、3Dと映像撮影の手法を組み合わせることで生まれています。ジョナサンは、受賞歴のある撮影監督アーロン・リードと共同で制作しました。2人は以前にも、ミュージックビデオやCM制作で協業しています。ロバートのライティングでは、球体のミラーを使って実際のロケーションで撮影したHDRI画像を参考にしました。さらに、The Millのチャーリー・モリスがカラーグレーディングを担当し、色味を丁寧に整えることで、印象的で幻想的な映像に仕上げています。

クラウドレンダリングを始めたばかりのころ

ジョナサンがクラウドレンダリングを知ったのは、比較的最近のことです。GarageFarmを日常的に使うようになる前は、自宅のPCで作品をレンダリングしていました。そのため、1本の作品を完成させるまでに数週間、場合によっては数か月かかることもあったといいます。たとえば、Funeral Suitsのミュージックビデオ制作もその一例です。

このミュージックビデオを制作したのは2013年、ジョナサンが3D制作を始めて間もない時期でした。それでも、彼らしい温かさや細部へのこだわりは、すでに作品の随所に表れています。これだけの映像を1台のPCでレンダリングしていたことを思うと、その作業量の大きさが伝わります。現在はクラウドレンダリングを活用することで、より多くの作品を形にできるようになっています。

しかし、ジョナサンがクラウドレンダリングサービスを使い始めるまでには、少し時間がかかりました。費用が高すぎるのではないかと考えていたためです。しかし、GarageFarmでテストレンダリングを試し、レンダリング速度が大幅に向上することを実感してからは、もう以前の方法には戻れなくなりました。

最高の組み合わせ

ジョナサンのように多くの作品を制作するアーティストにとって、プロジェクトをどれだけ迅速に完成させられるかは非常に重要です。それは単に、できるだけ早く作品を納品するためだけではありません。長いレンダリング待ち時間や技術的な問題によって創作意欲やエネルギーが薄れてしまわないようにし、次の制作へ向かう勢いを保つためでもあります。

「レンダーファームがなければ、『Robert the Robot』を1台のマシンだけで完成させるのは、ほぼ不可能だったでしょう。プロジェクト自体も、おそらく立ち消えになっていたと思います」とジョナサンは語ります。

技術的な問題について言えば、レンダリングのように複雑な工程では、完全に避けることはできません。しかし、レンダリングを行う中で遭遇した問題は、GarageFarmの24時間365日対応のサポートチームによって迅速に解決されました。

「シーンが十分に最適化されておらず、メモリの問題でレンダリングがクラッシュしたことがありました。その問題はサポートチームが見つけてくれました。また、想定外のフレームが出力された別のケースでは、追加料金なしで快く再レンダリングに対応してくれました」とジョナサンは語ります。

3Dの未来

ジョナサンは、ほぼリアルタイムで映像をレンダリングできる技術の進化に大きな期待を寄せています。そうした背景から、Unreal Engineは3D業界に大きな変化をもたらす存在になると考えています。ただし、現時点では技術がまだ十分に成熟しているとは言えません。1基のGPUだけで、複雑な映像をほぼリアルタイムに描画できるようになるのは、もう少し先になりそうです。

クラウドレンダリングサービスに今後期待していることの一つは、シミュレーションへの対応です。現状ではシミュレーションを自分のマシンで実行するしかなく、その間は作業が大幅に滞ってしまいます。彼が思い描いているのは、大規模なPhoenix Fluid Dynamicsのシミュレーションをクラウドファームに送信し、レンダリングと同じように100台のノードで処理できるようになることです。

How GarageFarm improved rendering times on V-Ray for 3ds Max

もしジョナサンの願いがかなえば、彼はこれからどんな不思議な映像や幻想的な世界、心に残る物語を私たちに見せてくれるのでしょうか。

それは、私たちの願いでもあります。

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